365日のアロマ 2019/09/03
6000ブレンドの前に

いよいよアロマブレンドが6000回目になります。
節目の前に、今の気持ちを綴っておこうと思います。
あらためて、自分自身でも、かなりの数のブレンド作ってきたなと思います。
でもその最初の一歩、はじめてブレンドした時の感動は今でもよく覚えています。
オレンジスイート、ラベンダー、サンダルウッド。
癒し、と言われる王道の3種。1本ずつでも好きな香りですが、3本をブレンドするとさらに深くいい香りになる!という発見。「アロマってすごい、こんなに気持ちが変わるなんて。」そう感じた組合せ、何度作ったことか。マイベーシックの大切なアロマブレンドです。
同じ組み合わせでも混ぜる香りの比率によって香りが変わることや、精油メーカーによって香りも全く変わるなど、精油の違いも感じながら色々混ぜることを楽しんでいました。
当たり前といえば当たり前なのですが、その頃はアロマブレンドがまだまだ一般的ではなくて、分かりやすいテキストほとんどもなく、1滴多くするか、少なくするか、実験のようにブレンドを行っていた気がします。
ブレンドをするようになって1000回くらいまでは試行錯誤も多く、自分の中でも「調香」というものに対するルールが決まっていなかった時期でもありました。その流れの中で、だんだんと香りをうまく組み合わせるためのコツ、のようなものができてきました。
基本的に早朝にブレンドをするとか、香りのチェックは作った翌日も行う、とか。1週間後、1ヶ月後の確認とかもその1つです。
他にも、香りの系統毎に調香してみたり、地域性を考えたりと、自分だけの考えに偏らないように、作ったものを色々な方に差し上げて、フィードバックをもらったりもしました。好きな香水の香りを天然精油で再現するのもやっていた時期があります。
深夜の調香で気がついたら眠ってしまい、起きたらなにやらの香りが出来上がっていた、そんなこともありました。今だから話せる失敗談も結構あります。
そうしている間に、香りの熟成の予想ができるようになってきました。私自身、アロマを始めたばかりの頃よりも、明らかに嗅覚は優れている、そう感じます。人間の鼻は本当にすごいですね。
1000ブレンドを過ぎた頃からは、ブレンディングに迷いがなくなり、様々な香りの組合せの幅を広げ始めた時期。
フランスの調香師のように「香りのオルガン」を作りたくて、ずらりと並べる精油棚をオーダーをしたのもこの頃です。これがあると調香に必要な精油をカテゴリーごとに分けたり、また取り出しやすく、見た目以上に効率的に使うことができるのです。朝も昼も夜も、ブレンドが楽しくて精油のことで頭がいっぱいだった時期です。
ブレンドが3000~5000の頃には全国規模のアロマブレンドコンテストで受賞したり、個人だけでなく、法人企業様からのご依頼で香り作りを行ったりと香りを作る仕事が増えてきた時期です。独立して10年の周年パーティもこの時期に行いました。
何事も初めてのお仕事はドキドキの連続でしたが、本当に多くの人に助けられてこれまで積み重ねてこれた気がします。
実は、5000回に到達したときに決めていたことが1つあります。
それは自分のやってきた調香を一度俯瞰して見て「これでいいのか?」と疑ってみる、ということでした。自分のやってきたことって本当に大丈夫なのか?香りなんて、好みが分かれるものを、一つの香りに絞るということは正しいのだろうか?自分主体になっていないか?そんなことから、自分の作品づくりをあえて否定的にも見つめてみたのです。
そこで一番痛感したことは、はじめから変わらない「素材の力」を最大限に生かす。ということでした。
ブレンドは自分の好きな香りに無理やり組み合わせるものではない、自然の流れを受け入れて、素材同士が握手できるように私が香りに向き合うことが大切。そうあらためて思いました。
明日の6000回目を節目として、数ヶ月前から構想してきた和精油ブレンドを公開していこうと思います。
西洋の香りと日本の植物との出会い。とてもいい香りができています。
是非お楽しみにしていてください。
そして、はじめてブレンドをされる方にも是非応援メッセージを送りたいと想っています。
わたしはアロマ調香を10年以上続けてきていますが、それは素敵な景色に出会う旅のように、忘れられない香りとの出会いでもあります。
是非、数種類を組み合わせてみることから、アロマ調香を楽しんでいただけたら嬉しいです。毎日の生活が本当に大きく変わると思います。
アロマ調香デザイナー® 齋藤智子